「勇気を出しなさい」 07.02.11
使徒言行録23:11〜35
「地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を
動いていた。」(創世記1:2)
不安なものが満ちている所に、神の霊があります。その神の霊が動き、
働きかけて、世界は秩序と生命ある世界になっていきました。この世界は
そのようであると聖書は告げます。
この場面でパウロの置かれていた状況は、混沌が支配しているように
思えます。人々の悪意や闇の心があふれています。ユダヤ人の中に、
パウロを暗殺する陰謀を企てた者がいました。ユダヤの権力者もそれに
協力します。パウロの甥は、その計画を知る立場にいました。結果的に、
計画を知らせてくれたことは幸いですが、パウロの身内に、暗殺を計画
するほどの敵対者がいたということです。
千人隊長はパウロの身の安全を守りますが、それはパウロのためでは
ありません。自分の立場を守るためにしたことです。この時のパウロの
周囲には、人の美しさは見えてきません。
この時、エルサレム教会は沈黙しています。助けるための動きも、祈りの
支える姿も記されてはいません。教会は、この状況に対してまったく無力で
ありました。
パウロ自身、無力さを味わっていたでしょう。彼はエルサレムで結局何も
出来なかったのです。ユダヤ人クリスチャンのパウロに対する誤解を解く
ことも出来ませんでした。福音を語る機会を与えられながらも、その結果は
混乱であって、実りはありませんでした。
パウロの周囲、教会、パウロ自身、どこを見ても良いものは見当たりません。
しかし、事は進んで行きます。混乱のまま、流されて進むのではなく、主の
おっしゃったように(11節)、ローマに向かって進んでいくのです。
混沌が、この世界を支配しているのではないからです。この主の働きを
見せ付けられます。
事柄が、願うように、上手く進むことはうれしいことです。
闇のような事柄はない方がいい。しかし、闇に必要以上に心奪われる
ことが多すぎます。
主は、「勇気を出しなさい」とおっしゃってくださいます。